今から約5年前に小倉に出張した時に、駅に貼ってあったポスターに目がとまりました。インディアンのような羽根飾りをつけたクマが放つポスターいっぱいの圧倒的なオーラ。陶製の人形だと思ったけど定かではなく、急いでいたので作家の名前だけメモ帳に書き止めてその場を離れました。石原稔久さん、陶芸家の方でした。その後も何度か九州に出張したものの、ついに実際の作品を見ぬまま時間だけが経ちました。急に決まった今回の出張、もし時間が許せばと考えて、HPの工房/一石いっこくの情報ページを携帯しました。オフィシャルサイトはコチラ→ http://www.toshihisaishihara.com/
当日仕事を終えた後で、展示室が開いているか事前にお電話、さらに道のりを伺うと、若宮ICバス停から徒歩30~40分とのこと。急ぐ旅でもないので交通費節約にと徒歩決行。しかし、バスを降りて最初の分岐点で早くも道に迷う始末。誰かに聞こうにも何もないので、またもお電話。「迎えに行きますよ」というありがたいお言葉を頂くも、恐縮至極でご辞退し初志貫徹。のどかな里山の道ばたには、一面レンゲが咲き誇る景色もあり、とうちゃこ気分で歩くこと40分。
最後の分岐点で、もう一度お電話。そして無事到着。奥様の石原多見子さんが温かく出迎えてくださり、その上、上着を脱いで涼んでください、と冷たいお茶をご馳走になりました。ありがとうございました。そして本当に何度もお電話してすみませんでした。
まずは自己紹介して、石原稔久さんを知るきっかけをお伝えしました。ただ(当然のことなのですが)展示室には、数年前に出会ったクマの人形やその仲間たちは誰もいませんでしたが、大きな象のオブジェや、ホームページに紹介されていた削りだした埴輪のような作品がたくさん並んでいました。
ひとつひとつの作品にそれぞれ違った趣があって、静なるチカラ、とでもいうようなパワーを感じました。
それぞれの手には楽器を持っていて、魔除けの意味があるそうです。家のそこかしこに祭っておくと、悪い気が退散しそうですね。
陶製の人形を主人公にした絵本がいくつか展示してありました。私が以前に見た羽根飾りを着けたくまは「セルゲイとココルル」という物語の、くまのココルルでした。くまやその仲間たちに会えなくて残念とお伝えしたところ、セルゲイとココルルの作品はすべて手元にないけれど、と説明しながら、奥から箱を取り出して開いてくれました。怪盗フラーフとユルベール巡査の出演者たちです。
本当にありがとうございました。確かに待ち望んでいた作品の雰囲気です。ココルルには、またいつか会える日を楽しみにしています。奥様の多見子さんには本当に感謝しています。どうもありがとうございました。石原稔久さんの作品の展示は東京でも時折あるそうで、代官山の無垢里(クラフトの旅でも紹介)というギャラリーでも展示会をされたとのことです。次の機会ありましたら教えていただけるそうです。よろしくお願いします。
当日に買い求めた物語「セルゲイとココルル」夜になって開いてみました。静なる温かさ、シンとした空気の中で生物のハートの温かさを感じました。
「12月のこころ」のコンセプトに記載している焼き物のくだりの一節 ”生きている自分を形を変えた命が応援する” を思い出しました。僕がココルルなのだね。
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